フルーツ大福「弁才天」のフランチャイズに関する記事について知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
フルーツ大福「弁才天」のフランチャイズに関する記事が、文春に記載されていました。
フランチャイズ本部と加盟店間の問題は、これまでも多くありますが、それらに共通する事項も多々あります。それらも踏まえて、記事の内容を考察しています。
「週刊文春」に、
フルーツ大福「弁才天」のフランチャイズ
に関する記事が載っていました。
「週刊文春」って、こういう類のスクープ記事が、多いですね。
情報としては、知っておくといいのですが、記事によっては、あまり鵜呑みにしないほうがいいケースもあります。
内容によって判断しましょう。
今回のフルーツ大福「弁才天」のフランチャイズの記事に関しては、内容的に、
・加盟店が売り上げ不振で苦しんでいる
・閉店数も多い
・創業オーナーである大野淳平氏は、2021年末に、会社の株の半数を数十億で売却
・初期費用(加盟金、設備費用等)が、かなり高めの設定
・2023年3月31日付で、大野淳平氏が社長退任
といったことが記載されています。
内容的に、フランチャイズ本部と加盟店との間で発生するトラブルとしては、
フランチャイズビジネスに共通するトラブル
も含まれているといえます。
記事にニュアンスとしては、
加盟店がかわいそうだ?
という論調になっていますが、契約上の違反がなければ、本部に責任があるとは言い切れない面もあります。
結論としては、やはり、加盟店側は、
加盟時に契約条件を十分精査した上で、判断する必要がある
と言えます。
文春の記事は、下記になります。
また、日刊ゲンダイでも、同様の記事があります。
下記に、トラブルの要点と、そのことについての考察などを記載します。
フルーツ大福「弁才天」;創業の経緯など、
創業の経緯や、初期費用などは、概ね、下記の内容となっています。
・創業者の大野淳平氏は、工業系の商社や、広告代理店を経て、フリーランスでPR戦略のコンサルタントや古着屋事業を行う。
・その後、2019年10月に、フルーツをふんだんに使った大福のお店を創業。
・断面がSNS映えすることで、メディアで取り上げらたこともあり、人気店に。
・高級フルーツを使うこともあり、商品の価格は、かなりの高単価。
・フランチャイズに関しては、のれん分けという形式で、展開。
・店舗数は、2022年5月時点では80店ほど(うち、直営店は、10店舗ほど)。
・2023年3月の時点では、54店舗。
・初期費用は2500万~3000万円になり、店舗の形態を考えると、かなり高額となっている。
・初期費用のうち、加盟金と研修費で約1,000万円となっている。
公式ホームページは、こちら。
商品の値段設定
オンラインショップで商品の価格をみると、
フルーツ四種【贈答用化粧箱入】 ¥3,500(税込)
となっています。
ひとつあたり875円(税込)の大福ということになります。
フランチャイズに関して
店舗数
2022年5月時点ではの店舗数が、80店ほどですので、それを、多いとみるか、少ないと見るかは、見方によって変わってきます。
ただ、創業4年で、80店舗ということは、比較的順調に店舗数が推移していると言えると思います。
また。出店数自体は、ひとつの加盟店が複数店舗を出店するケースも含めての数値となります。
【参考】参考高級食パンの「乃が美」の店舗数
ちなみに、同じ高級食材のフランチャイズとして、
高級食パンの「乃が美」
があります。
その店舗数は、
153店舗(公式HPに記載の店舗数;2023年4月時点)
と、100店舗を超えていますので、店舗数としては多いと言えます。
(ただ、22年4月の時点で、256店舗でしたので、かなり閉店しています。)
商品の特徴
上記の記載したように、
SNS映えすることで、メディアで取り上げられたりしたこと
などの要因で、人気の店舗となりましたが、結果的に、
一過性のブーム
という要素が強かったと言えます。
インタビュー記事をみると、創業者の大野淳平氏は、下記のコメントをされています。
「僕はフルーツ大福をブームではなくカルチャーとして育てていきたい。老舗文化というのは、自分が死んだ後も残る作品だと思うんです。
https://newspicks.com/news/6704647/body/
タピオカなどと違って、フルーツ大福は誰にでも喜んでもらえる手土産になる点です。だからこそ、ブランド価値が大事になってくる」
「ブームに乗じたクオリティーの低いビジネスとは異なり、フルーツ大福はコンセプトも商品作りの手間ひまやコストがかかります。同じような商品を後追いしようとしても、フルーツ大福のこだわりは、まねできないはずだという自信があります」
インタビューの内容と反して、現時点では、カルチャーとしては、育たなかっていないということになります。
事業ですので、うまくいかないこともあります。
また、
創業オーナーである大野淳平氏は、2021年末に、会社の株の半数を数十億で売却した
という経緯があります。
※そういえば、「乃が美」も、株式をファンドに売却していました。
大野淳平氏の場合、下記のインタビュー動画を見ると、
・1店舗目の時点から、バイアウトを考えていた
・加盟の説明の際にも、質問を受ければ、M&Aを考えていると回答していた
・生みの親と育ての親が違う(M&Aでよく言われること)
とのことですので、株式の売却に関しては、初期の段階で構想されていたことがわかります。
M&Aをすれば、事業が育つのか?という点に疑問はありますが、少なくとも、自身の裁量で事業を大きくしていくという思考がなかったように感じます。
動画では、自身は、ゼロから1にする作業が得意なので、その後のマネジメント部分はM&Aで、外部の専門家に任せたいということを述べられています。
普通に考えて、人任せの経営になってしまうと思うのですが。
また、内実、資金面で株式を売却をするという要因も考えられます。
ただ、そもそも、フランチャイズの場合、出店費用や店舗の人件費等は加盟店負担となるので、その運営に関しては、直営店での展開に比べると、理論上、コスト的にはコンパクトにできるはずですです。
ですので、その理由の可能性も低いように思います。
異色:フルーツ大福ブームを起こしたブランドの裏側|Vol.687/弁才天・大野淳平代表(M&A BANK)
フランチャイズのしくみ
「のれん分け」という名称を使用していますが、実質は、フランチャイズのしくみと言えます。
一般的なお話しになりますが、通常、「のれん分け」の場合、
加盟金やロイヤリティの料率が低い
という傾向にあります。
(もっとも、従業員が独立する場合などに、のれん分けをするという背景もあります。)
しかしながら、フルーツ大福「弁才天」の加盟条件の場合、
逆に、加盟金が高めの設定
になっています。
そこまで高い金額を設定しなくてもいいように思います。
(加盟金と研修費で約1,000万円)
加盟店の金額設定が高額なことについては、なんとなく、腑に落ちない印象はあります。
上記のインタビュー記事の中では、下記のコメントをされています。
「加盟金だけで1000万円という、決して安くはないライセンス料は、そんな我々の思いを理解・共感し、覚悟を持ってもらうための価格設定です」
https://newspicks.com/news/6704647/body/
また、上記の動画でも、
加盟条件のハードルを高くすることで、加盟する先を絞ること
も考えておられたようです。
ただ、
「覚悟を持ってもらうために高めの設定をしている」という理由
は、加盟金の価格設定の裏付けが感覚的なものになり、合理的な裏付けが無いように感じます。
もし、そういう理由で加盟金を高く設定しているとすれば、私なら加盟はしないでしょう。
さいごに
フランチャイズの場合、
加盟店の売り上げが好調で、利益がでていれば、本部と加盟店間のトラブルや問題が発生するリスクは、低い
のですが、
売上が低迷すると、いろいろなトラブルや問題が発生する
と言えます。
また、そうした時に、
事業が好調な時にはあまり問題視されなかった、いろんな原因
が取り上げられることになります。
本案件の場合、
事業自体が一過性のもの
であったり、
初期投資が高額であったり
といった点などがあります。
結局、それは、
加盟契約をする際に、内在している事項
と言えます。
ですので、やはり、フランチャイズに加盟する際には、
事業性や本部の経営への取り組み方
をしっかりと見極める必要があると言えます。
また、フランチャイズ本部が、新たな商品などの開発等で状況が変わると良いのですが、本案件の場合、今後、特に新たな動きがあるかどうかはわかりません。
経営体制に関しては、2023年3月31日付で、大野淳平氏が社長退任したことを考えると、新たな体制で再スタートするということなのでしょう。
以上、フルーツ大福「弁才天」の件の考察についてでした。